先日、久々にYouTubeで日が暮れた。
一度アクセスすると、次々と繋がっていってつい夜更かししてしまうので、普段はなるべく覗かない様にしているのだが。
学生が「サンソン・フランソワの映像で、ラヴェルのコンチェルトをみつけました」と教えてくれたのが、きっかけだった。
そこからリンクしていくと、留まる処をしらない。
面白かったのは、ラジオ番組だったらしく音声だけなのだが、ハンガリーのピアニスト、アンドラーシュ・シフが、聴衆を前にベートーヴェンの「月光ソナタ」について弾きながら講義していた30分。
穏やかなシフが話す英語は、比較的分かりやすく、内容も身近なので退屈しなかった。
「月光ソナタ」の楽譜の冒頭に書かれているsenza sordino(弱音器なしで)の標語についての解説。
ベートーヴェンの時代に使われていた、senza sordino は、「左のペダルを踏む」ではなく、「ダンパーを使用せず」の意味なのであって、つまりそれは、右のペダルを踏みっぱなしで弾く、という指示なのである・・。
あの有名な一楽章を、ペダルを踏みっぱなしで演奏して聴かせていたのは圧巻だった。底までは踏まずに、3分の一位の浅さで、と説明して。
ホロヴィッツがカーター大統領時代、ホワイトハウスで行った演奏会は、30年程前にテレビで見た映像だろう。
ショパンの「葬送行進曲付きソナタ」などを弾いていたが、同じ曲をカーネギーホールで弾いた時の演奏の方が、遥かに鬼気迫るものがあった。
ポゴレリッチがショパンコンクールで演奏しているライブの映像。若い!
やはりショパンコンクールのライブで、アルゲリッチの弾くスケルッツォ3番。これは、CDでも聴いた事があるけれど、他に優勝者なんてありえない、といった唸らせる演奏だった。
そして彼女の、ラフマニノフの3番のコンチェルトの凄まじさ!どこかの演奏会のライブ映像だが、まだ若い頃で、その出だしの美しさと、言語に絶するテクニック。
あの難曲をまるで事も無げに、あの美しい表情で弾きこなすのには、呆然というか唖然としてしまう。
これこそ、ピアノを弾く為に生まれてきた天才なのだ、と納得せざるを得ない。
ペルルミュテールがラヴェルの「夜のギャスパール」を普段着で演奏している映像。
初めて彼の演奏している姿を見たが、豊かに湧き出てくる幻想的な世界とは裏腹に、殆ど体も表情も動かない。
僅かに、ガムでも噛んでいるのか、と見紛う位に口を動かしているのが印象的であった。
今回、「水の精」は何人もの人の映像で聴いたが、私には彼の演奏が一番しっくりきた。
名高いミケランジェリの演奏の映像もあった。
更に、彼がチェリビダケの指揮でラヴェルのコンチェルトを弾いている映像を見つけた時は、ちょっと興奮して、昔彼の内弟子だった友人にメールを送った。
勿論彼女も知っていて、何時でも見られる様にキープしている、とすぐ返事がきたけれど。
若い頃にもし、この様に簡単に映像が見られたならば、ピアノの奏法も随分変わって居たかも知れない。
当時は、まだまだヨーロッパは遠い世界であったから・・・。
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