家族

2008年2月23日 (土)

ライブハウス

初めてライブハウスに行ったのは、新宿にあった「ピット・イン」。ジャズが聴きたいと言うよりは、ジャズの現場を見てみたいと思ったのだが。

何だか、聴こえるのはジャズだけど、クラシックの演奏会同様、余り楽しそうな雰囲気は感じられず、居心地は余り良くなかった。

次に行ったのは、六本木にあった「ミスティ」で、これは、山本剛のピアノを中心にしたライブハウスだった。最後に必ず「ミスティ」を演奏するのだが、午前二時位だった閉店時間まで粘るのは結構大変で、途中でリクエストして帰って来た事もあった。でも、ここは楽しかった。

その後、20年位は色々変遷があり、子供達が成人してからは、家族で食事に行った帰りなど、ほろ酔い機嫌で、新宿の明治通りにあった小さなライブハウスに立ち寄ってみたり・・。

そして三週間前の土曜日、原宿のライブハウスへ、初めて息子のライブを見に行った。

若者向きの大音響は苦手な筈の私が、ライブハウス一杯に響き渡る息子の歌声を聴きながら、よくあんな声が出る様になったものだ、と感無量であった。

最初は、たった一人で多重録音したカラオケをひっさげて活動していた息子だったが、いつの頃からか、サポートしてくれるギターやドラムの仲間ができていた。

5,6年前に、どうしても音楽がやりたいと、家を出て独立していった息子が、この日のワンマンライブを実現させるまでに、一つ一つ丁寧に積み重ねてきたのだ、と思うと、高校生の頃に自分の部屋でよく聴かせてくれた息子と重なって、感動的であった。

立ち見が出る程のお客さんが集まって、最後には手拍子のアンコールが出て、楽しい一晩であった。

翌日の東京は大雪で、あたり一面が銀世界となり、息子のブログには、「ワンマンライブの成功が、そんなに珍しいのか・・(笑い)」と書かれてあった。

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2008年2月 6日 (水)

グリーンの傘

子供の頃、サンタクロースの存在を随分長い間、信じていた。

気の強かった私は、小学校で「サンタクロースは、絶対いるんだから!」と、友達と口論した事もあった。

「お母さんに聞いて、確かめてくる!」という捨て台詞を残して、帰ってきた日。

夢が壊れた事よりも、口論に負けた悔しさの方が印象に残っている。数年後に、やはり現実を知った弟は、がっかりして泣き出したというのに・・。

それから数十年過ぎて、今度はこちらが子供にプレゼントを用意する立場になった。

2歳半と1歳半の子供達と共に、その頃我が家はアメリカのプリンストンに住んでいた。12月のある週末、パパと子供達にお留守番を頼んで、私一人町外れにあるショッピングセンターへ、買い物に出かけて行った。

運転免許取立ての私にとって、そこが、その頃自力で行ける唯一のデパートだったのだ。

10月からプレ幼稚園の様な、ナースリー・スクールに通い始めた娘は、英語社会の中で、少しずつ外の世界を学び始めていた頃だった。

朝、学校(スクールだから我が家ではそう呼んでいた)に着くと、子供達は暫くの間、それぞれが好きな事をして過ごし、それから一日が始まるらしかった。

娘は大体、まずハンモックを着て、ペインティングというのが、お決まりのコースだった。お気に入りの色は、グリーン。

今思えば、言葉のコミュニケーションで苦労していた、子供なりの知恵だったのかも知れない・・。

いつも母親同士が送迎の交代をしていた、スミという近所の男の子が居て、その子が雨の日に、子供用の傘をさしていたのだった。

娘はそれが相当羨ましかったらしく、「持って上げる・・」と言いながら、いつも貸して貰って歩いていた。

そして、買い物の日。

プレゼントを探しにデパートに着いて、二階の売り場に行くと、そこにはまるで、私を待っていたとしか思えない、鮮やかなグリーンの子供用傘が飾ってあったのだ。縁の回りに可愛いフリルが付いて、それはそれは華やかで素敵だった。

その横には、ひとつだけシンプルなベージュの子供用傘があって、まるで「弟の方には、これを・・」、と囁かれたみたいだった。

それが、私のサンタクロース・デビューの瞬間であった。

娘の「学校」では、色々楽しい企画があって、毎週水曜日にお気に入りのものを持ってきては、皆にご披露する時間、というのがあった。

娘は毎週、水曜日になると晴れても曇っても、そのグリーンの傘を持って行った。

ある時、私がお手伝いの当番の日。

先生が読み聞かせの時間に、「今日は、日本の本にしましょうね。」と言って、松谷みよこの「小さなモモちゃん」の本を読んでくださった。

モモちゃんが青い傘を差してくる場面で、先生がおっしゃった。「傘の色はブルーでした・・。では、カータン(と、娘は呼ばれていた)の傘の色は、何色でしょう?」

子供達は、口を揃えて大声で応えた。

「グリーン!」

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